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はじめに
こんにちは!今日も元気なぷうちゃんです!
本日のテーマは、”猫エイズ”となっています。
なお、本記事を見てもらいたい方としては、
・猫エイズについて知りたい方
・愛猫が猫エイズにかかってしまった方
・りん先輩が強く生きた証を知りたい方
となっております!
重たいテーマになりますが、詳しく丁寧に説明しますので、りん先輩のエイズ奮闘記まで読んでいただけると嬉しいです。
猫エイズとは
猫エイズはどんな病気?
エイズ(AIDS)とは、後天性免疫不全症候群の略称であり、体内の免疫が免疫不全ウイルスによって低下され、定められた症状を発症した状態を指します。
定められた症状というのは、厚生労働省が定める指標疾患(悪性リンパ腫やカポジ肉腫など)のことです。
免疫不全ウイルスによって体の中の免疫細胞が破壊されることで、今までは簡単に治っていた風邪や口内炎が重症化してしまいます。
つまり、エイズで亡くなる方はエイズが原因で亡くなるのではなく、エイズの状態で風邪や感染症の重症化が原因で亡くなるということになります。
また、このエイズという病は人間だけでなく、猫にもあります。
それが”猫エイズ”です。
猫エイズは、基本的に人間の症状と同じですが、免疫不全ウイルスが異なります。
猫の免疫不全ウイルスはFIV(猫免疫不全ウイルス)であるのに対し、人間の免疫不全ウイルスはHIV(ヒト免疫不全ウイルス)です。
残念ながら、現代の医療ではエイズを根本的に治すことはできません。しかし、薬を継続的に投与し、風邪や感染症からの免疫を維持できれば、寿命を延ばすことは可能です。
猫エイズの感染経路
FIV(猫免疫不全ウイルス)は、主に猫の唾液中や血液中に存在します。
ですので、猫エイズの感染経路は基本的に血液や唾液となります。
感染例が多いのは、遺伝的な感染(垂直感染)と喧嘩による感染(平行感染)です。
遺伝的な感染では、親猫から子猫に感染します。
母体が猫エイズに感染していた場合、子供にも感染してしまうリスクが高くなります。
喧嘩での感染では、猫同士の血を交えた激しい喧嘩で感染します。
一方の猫が猫エイズに感染していた場合、咬傷によって相手の猫に感染します。
2つの例における感染率は100%ではありませんが、割合的には高いことを覚えておきましょう。
また、「感染していない猫が同じ空気を吸うだけで感染する」という方がいますが、それは全くのでたらめです。
なぜなら、FIV(猫免疫不全ウイルス)自体の抗力は弱いので、空気感染することはないからです。
もちろん、抗力が弱くても食器やトイレなどを同じにするのは危険です。
食器やトイレには唾液や体液が付着することがあり、そこから他の猫に感染してしまう可能性があります。
もし多頭飼いをしている場合は、別の食器やトイレを用意してくださいね。
意外と知られていない感染経路に”交尾”があります。人間は性行為によって感染することが多いという事はよく知られていますが、猫も同様に交尾での感染があるという事を覚えておきましょう。
猫エイズは人に移るのか
猫エイズが人に移ることはありません。
猫に限らず、動物の病気が人間に移る病気を”人獣共通感染症”と呼びますが、猫エイズはこの部類に含まれません。
また、人間に移らないだけでなく、犬やほかの動物にも感染しません。
これは、猫エイズがレトロウイルス科レンチウイルス亜科中のネコ科に分類されるからです。
レンチウイルスの”レンチ”は、発病までの進行がゆっくりということを意味します。
レンチウイルス亜科には、ほかにもサル免疫不全ウイルスや馬免疫不全ウイルスがあり、もちろんヒト免疫不全ウイルスも含まれます。
これらのウイルスは、その動物にしか感染しないという特徴を持っているため、猫エイズがほかの動物に感染することはないのです。
猫エイズはほかの動物に移らないと説明しましたが、これは少し間違っています。というのも、猫エイズの原因となる猫免疫不全ウイルスはネコ科の動物には感染します。ネコ科の例としては、ライオンやイリオモテヤマネコなどです。ライオンを飼う人はいないと思いますが、知識として持っておくのも悪くないでしょう!
猫エイズの症状
猫エイズに感染すると、最初は風邪が長引いているような症状を示します。
鼻水を出したり、下痢をしたり、目やにが溜まりやすくなるなど、普段の風邪と何ら変わらない症状ですので、ここで猫エイズに感染したとはわかりません。
この初期症状を経過すると、一見治ったかのような期間を迎えます。
しかし、これは猫エイズが治ったのではなく、ウイルスが潜伏している状態になります。
その後、発症しなければ潜伏状態で一生を過ごしますが、発症してしまうと免疫力が見る見るうちに落ちていきます。
この免疫力がウイルスによって機能しなくなったとき、最終的に猫は死んでしまいます。
猫エイズの症状を大まかに知っていただいた上で、各期間と症状をもう少し詳しく見ていきましょう。
猫エイズには、以下の5つの期間があり、それぞれの期間を”ステージ”と呼びます。
急性期
無症候性キャリア期
持続性リンパ腫大期
エイズ関連症候群期
後天性免疫不全症候群期
急性期
風邪のような症状が数週間から数ヶ月程度続きます。
発熱やリンパ節の腫れが見られ、下痢をすることもあります。
また、外部から侵入してきたFIVに対抗するため、体の中では抗FIV抗体ができ始めます。
症状が風邪に似ており、飼い主さんもそこまで深刻に考えないため、この期間でのエイズ感染に気づくことは難しいでしょう。
無症候性キャリア期
急性期を終えると、一見風邪が治ったかのような期間に入ります。
この期間は数ヶ月から数年ほど続き、中には寿命を迎えるまで発症しない猫もいます。
私はこの期間が猫エイズにおいて”最も恐ろしい期間”だと考えています。
急性期が終わった段階で多くの飼い主さんは「治った!」と勘違いしてしまうでしょう。
しかし、実際はウイルスが潜伏しているだけであって、猫の免疫力は少しずつ低下しているのです。
この期間は別名”FIVの潜伏期間”とも呼ばれ、猫の年齢や免疫力によっても異なりますが、猫は普段通りの生活をします。
ですので、この期間に感染を疑う事は不可能に近いでしょう。
持続性リンパ腫大期
この期間は、数週間から数ヶ月間続き、潜伏していたウイルスが動き出し始めます。
ウイルスが活動し始めると、それらと戦うために白血球やその他の免疫細胞が活発になります。
これによって、全身のリンパ節が腫れだし、発熱を伴うこともあります。
エイズ関連症候群期
この期間は、エイズが発症した期間でもあり、本格的に免疫力が低下してしまう期間です。
りん先輩もこの期間にやっと感染しているとわかりました(泣)
エイズが発症すると、今まで通りのことが難しくなります。
ただの風邪が重症化したり、口内炎で歯が抜けてしまうなど、外からのウイルスに体が勝てなくなってしまいます。
中には悪性腫瘍ができたり、皮膚が爛れることもあります。
多くの飼い主さんがこの期間で猫の異変に気付き、治療を始めます。
もし治療をしないで放っておくと余命1年は持たないでしょう。
しかし、治療を続け、体の免疫を維持できさえすれば、長生きさせることが可能です。
後天性免疫不全症候群期
この時期は、免疫力が著しく低下し、1~2ヶ月ほどで死に至ります。
口内炎で歯はほぼ機能しなくなり、食べ物を食べられず、うまく口に入れても「ギャッッッ」という激しい痛みを伴います。
これによって、体重が減少し、体力も低下してしまいます。
動物病院へ連れて行っても、おそらく「手の施しようがありません。」と言われます。
この期間はできるだけ猫が苦しまないようにしてあげましょう。
調子のいい時は少しでも栄養価の高いものを体内に取り入れ、温かい場所で十分な睡眠をとらせてあげましょう。
猫エイズの治療法
残念ながら、現代における科学では猫エイズを根本から治す薬はありません。
ですので、治療法は”対処療法”しかありません。
りん先輩が説明した通り、猫エイズには対処療法しかありません。
これは、猫エイズに感染したら、(現代の科学では)一生治すことができないことを意味します。
ですが、適切な治療を継続させて、重度の病気を引き起こさなければ死に至ることはありません。
エイズは癌(がん)などの他の病と同じく、発見が早いほど寿命を伸ばすことができます。
ですので、「あれっ、なんかこれ変だな」と感じたら、早めに動物病院に連れていくことをおすすめします。
検査の結果、ただの風邪なら一安心できますし、運悪く猫エイズであれば、その瞬間から治療を始めることができます。
りん先輩の奮闘記
発症から1~2ヶ月間
りん先輩は発症から1~2ヶ月経過した時に初めて猫エイズを患っていることが判明しました。
もともと捨て猫であったりん先輩は、外に出ることが日常化しており、野良猫と喧嘩をしてくる日も少なくはありませんでした。
ある日、いつも通り外から帰ってくると気分が悪そうにぐったりしていました。
はじめはいつもの風邪をひいてしまったかと思い、少し様子を見ていました。
しかし、症状は一向に良くならず、口の中には口内炎ができ始めていました。
今思えば、この時のりん先輩はすでにエイズに感染し、発症し始めていたのです。
翌日、動物病院へ連れて行くと獣医さんから驚きの診断をされました。
獣医さん:「お金はかかりますが、念のため”血液検査”をしましょう。」
私:「感染症などの疑いがあるのでしょうか?」
獣医さん:「そうですね・・・症状が少し猫エイズなどに似ている可能性があります。」
私:「わかりました。診断はすぐにわかるのでしょうか?」
獣医さん:「すぐにわかります。では、始めますね。」
~採血中~
獣医さん:「残念ですが、猫エイズに感染しています。」
私:「え・・・エイズって、あの人間にもあるやつですか?」
獣医さん:「症状などは非常によく似ていますので、一緒と考えてよいでしょう。」
私:「そんな・・・余命はどのくらいなのですか?」
獣医さん:「1年もつかどうかの状態ですね。」
私:「そんな・・・」
りん先輩の母猫は特定できないので、垂直型の感染かはわかりませんが、獣医さんの見解では水平感染によるものだそうです。
つまり、喧嘩や性交渉による感染という事になります。
確かに、この日の5ヶ月前くらいに猫同士の喧嘩をし、首から大量の血を流して帰ってきていました。
夜のことだったので、救急動物病院へ行き、応急処置をしていただきました。
もしかすると、この時には猫エイズに感染していたのかもしれませんね。
発症から3ヶ月目
発症から3ヶ月経っても、口内炎がよくなることはありませんでした。
むしろ、ご飯を食べるときも痛がり、口内炎がひどくなっているようにも見えました。
動物病院へは1ヶ月に一度通院することになり、症状がひどい場合は早めに連れて行くようにと言われました。
りん先輩はエイズに感染しているにも関わらず、毎日のように外へ遊びに行っていました。
獣医さんからは”なるべく外へ出さないようにしたほうがよい”と言われていましたが、急に家の中だけでの生活はりん先輩にはできませんでした。
りん先輩のような以前外で遊んでいた猫は家の中に閉じ込めておくとストレスが溜まってしまい、病気に逆効果と当時の私は考えました。
でも今となっては、外で遊ばせるべきではなかったと感じています。
外に行くと20回に一度くらいは怪我をして帰ってきます。
エイズになってから怪我をすると、軽いものでも治らなかったり、ひどい時は動物病院へ連れていくことになりました。
発症から6ヶ月目
余命の半分を終える頃にはかなり弱っていました。
固いキャットフードを食べることができず、キャットフードをフードミキサーで砕き、そこに猫ミルクを加えて与えていました。
外に出かける頻度も減っていき、調子のいい日しか出かけなくなりました。
しかし、そこには必死に生きようとするりん先輩の姿がありました。
口に物を入れることによる激しい痛みで「ギャッッッギャッッッ!!!」と悲鳴をあげながらも、食べることをやめたことは一度もなかったです。
どんなに痛くても、”生きる”という事をやめようとしたことはありませんでした。
それでも症状は一向に良くはならず、口の中においては日々ひどくなっていきました。
最初の頃はご飯を猫用のお皿で与えていましたが、容器の平らな部分に歯や歯茎が当たることでの痛みがあるようだったので、手を容器の形にして与えるようになりました。
手は柔らかく、容器よりも温かいので口内炎ができた猫のご飯を与えるときには適策だったと思います。
発症から9か月目
獣医さんが言った通り、余命1年は本当かもしれないと思うようになりました。
体はそこまでひどいダメージを受けてはいませんでしたが、口の中がすでにボロボロでした。
獣医さんによると、歯を抜き、注射で栄養を与える方法もあるらしいですが、最終的な判断は飼い主さんにありました。
りん先輩はこのような状況にもかかわらず、毎日必死にご飯を食べてくれていたので、注射による食事は私の判断で断りました。
口の中からは何かが腐ったかの臭いがし、よだれが絶えず出ていました。
獣医さんはなるべく体をきれいに保つようにと言っていました。
よだれには唾液だけでなく、膿や免疫を含む液体なので、非常にネトネトしており、垂れたよだれをふき取るのはなかなか大変でした。
通院の頻度も増え、獣医さんからは”入院も考慮したほうがいい”と言われましたが、ケージの中に24時間いるよりも家で最後の時を過ごさせてあげたいという願いから、自宅での治療を継続しました。
発症から15か月目
家族もりん先輩の死を覚悟していたある日、少し調子のよかったりん先輩は、「外に出たい!!」とねだりました。
当然、私は外に出すつもりはありませんでしたが、あまりにも落ち込むので少しだけ外に出してあげることにしました。
今思えば、「この時外に出していなければ・・・りん先輩は死ななかったかも」と思うことがあります。
いつもは毎日帰ってくるりん先輩が3日も帰って来ませんでした。
家の周りを探してもいない・・・。
やむを得ず、保健所に連絡を入れようかと悩んでいたちょうどその時でした。
近所の方が「りん先輩に似ている猫がいる」と教えてくれたんです。
私はやっとりん先輩に会えるとウキウキしてついて行くと、そこには草の上にりん先輩が横たわっていました。
ピクリともしないりん先輩を見た時、”死んでしまった”ということだけはわかりました。
よく”猫は自分の死ぬ姿を家族や大切な人に見せない”と言われています。
私はこのとき、りん先輩がそのような行動をとったのかと考えましたが、近づいてみるとその予想が違うことに気づきました。
横たわっているりん先輩に近づくと、りん先輩のお腹は破れ、血だらけになっていました。
つまり、”交通事故”です。
もう悲しくて、泣くしかありませんでした。
まさか自分の愛猫が交通事故にあうなんて・・・思ってもいませんでした。
冬だったので、体はカチカチに凍っており、目も開いたままでした。
あまりにもかわいそうな姿だったので、すぐにお墓を作ることにしました。
病気で苦しみながら最後は交通事故・・・。
切ない結末ではありましたが、あの苦しみをずっと続けるだけの体力はもうなかったのかもしれません。
りん先輩は、今も庭先の松の下で眠っています。
まとめ
猫のエイズを少しでもお分かりいただけたでしょうか?
りん先輩の最後は猫エイズによる死ではありませんでしたが、猫エイズの恐ろしさを知っていただけたかと思います。
私はりん先輩の猫エイズを振り返って思うことが3つあります。
1つ目:猫エイズは早期発見で寿命を延ばせる
2つ目:外には出さない
3つ目:最後まであきらめない!
当たり前のことかもしれませんが、この3つの事が非常に重要です。
りん先輩のように、猫エイズが発症してからですと余命1年と言われてしまうかもしれませんが、実際りん先輩は診断から1年3ヶ月ほど生きることができました。
また、余命を宣告されても、病気とのバランスをうまく保ちながら老衰で死ぬ猫も多いです。
2つ目と3つ目は、猫を交通事故・病気で亡くした私からのお願いでもあります。
まず、交通事故から。
交通事故は外に出さなければ起こることはまずありません。
また、交通事故での遺体はひどいです。
それが自分が愛していた猫となれば、余計に悲しくなり、後悔もするでしょう。
ですので、外には出さないでください!
次に、あきらめないでください。
病気になっても、余命を宣告されても、猫自身が生きようとしているならばそれを全力で応援してあげてください。
中には、尊厳死をさせたい飼い主さんもいると思います。
私もりん先輩のあまりに痛そうな姿を見た時、そのような選択肢もあるかもしれないと考えたこともあります。
しかし、尊厳死は猫自身の意思ではありません。
もし、飼い主さんが尊厳死を選択したら、あとで必ず後悔すると思います。
せっかく必死に最後まで生きようとしているのですから、その意思を尊重するのも飼い主さんの役割です。
もし、自分の猫が病気になってしまったら、絶対にあきらめないでくださいね!